7月・8月・9月の年中行事
■(7月 文月)七夕
七夕は、五節句の一つで旧暦の7月7日の夜のことです。現在では、7月7日か月遅れの8月7日に、七夕飾り、短冊などを飾ってお祭りを行っています。
七夕には中国から伝わった伝説があります。天帝の娘の織女は機織が上手く働き者でしたが、牽牛(彦星)と結婚してからは二人の生活が楽しかったので二人とも働かなくなってしまいました。天帝は怒り天の川を挟んで二人を引き離し、一年の中で7月7日の七夕の日だけ会うことが許されたという伝説です。牽牛星はわし座のアルタイル、織女星はこと座のベガのことを指します。



■(8月 葉月)お盆
お盆は旧暦の7月15日を中心に行われる仏教行事であり、先祖の霊を迎えて供養を行います。現在では、7月15日か月遅れの8月15日を中心に行われています。
お盆という呼び方は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を省略したものだと言われています。盂蘭盆会は、サンスクリット語の「ウラバンナ」を音写したものと言われ、「逆さ吊り」を意味する言葉で、餓鬼道に落ち、逆さ吊りにされるような苦しみから救うために供養をすることです。この盂蘭盆会が中国から伝わり、日本が古くから行ってきた先祖の魂祭や農耕儀礼が一緒になり、現在行われているようなお盆の習わしとなっていきました。
お盆は年に一度亡くなった人の霊が戻ってくる期間とされており、盆棚を作り、墓参りをし、13日には迎え火をたき先祖の霊を迎え、16日には送り火をたき先祖の霊を送り出します。

■お盆・盆棚
盆棚は精霊棚とも言い、13日の朝に用意します。仏壇の前などに簡単な台を用意し、上に真菰(まこも)を敷いて先祖の位牌を安置します。お供えするものは地方によって違いますが、きゅうりで作った馬、なすで作って牛、線香、灯明、水、仏膳、季節の花や果物、野菜、菓子、個人の好物などが供えられます。また、「水の子」という洗い米となすやきゅうりをさいの目に刻んだものを蓮の葉の上に盛ったものや、「閼伽水(あかみず)」という蓮の葉に水をたらしたものを供えたりするところもあります。盆棚の台も、四方に竹を立てたり、そうめんやほおづき、稲穂、昆布などを吊るすところもあり、その地方の風習によって様々です。



■(9月 長月)重陽の節句
9月9日は、五節句の一つ「重陽の節句」、または「菊の節句」と呼ばれています。
陰陽思想では奇数を陽の数としており、9月9日は陽数の中でも一番大きい数である9が重なるので「重陽」と呼ばれています。中国では、「登高」といって付近にある山に登って酒宴をひらいたり、邪気を祓うため茱萸(しゅゆ)の実を身につけたり、菊酒を飲んだり、菊の花を飾ったりして不老長寿を願う習わしがありました。
日本では宮中で「菊花の宴」が催されたり、庶民の間ではこの時期に収穫祭で栗飯と菊酒でお祝いしたりしていました。現在でも、収穫祭や菊花展などが行われているところもあります。

■(9月 長月)敬老の日
9月の第3月曜日は「敬老の日」です。
敬老の日は、「としよりの日」として制定されていましたが、その後「老人の日」になり、昭和41年に「敬老の日」として国民の祝日となりました。高齢者のいる家庭では、家族で祝い膳を囲み、多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝います。特に決まったしきたりはないので、レストランで会食や、温泉旅行など本人の希望を聞き、体調に考慮したプランで家族みんなでお祝いしましょう。

■(9月 長月)お月見
お月見は「観月」とも呼ばれ、旧暦の8月15日(十五夜)と9月13日(十三夜)の満月を眺め楽しむ習わしです。特に十五夜は「中秋の名月」「芋名月」と呼ばれ一年間で最も美しい月と言われています。
お月見の楽しみ方は、縁側やベランダなど月の見えるところに台を用意します。月見団子を12個(閏月は13個)、三方に盛り台の中央に供えます。里芋、枝豆、栗、季節の収穫物、酒などを供え、秋の七草を飾り、美しい月を眺めて詩歌を読んだり、豊作を祈願したりします。
秋の七草は、萩(はぎ)、尾花(おばな、すすきのこと)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)です。

■(9月 長月)秋分の日
秋分は二十四節気の一つで、春分と同じく昼と夜の長さが等しくなる日です。秋分の日を中日としてその前後3日間を入れた1週間は「秋の彼岸」と呼ばれています。彼岸の初日を「彼岸の入り」、秋分の日を「中日」、最後の日を「彼岸明け」といいます。
彼岸は日本独自の風習で、浄土思想に由来しています。浄土思想では、極楽浄土は西方のはるか彼方にあると考えられており、太陽が真東からのぼり真西に沈む春分、秋分の時期にはこの世と先祖たちの住む世界との交流がしやすいとされ、太陽を礼拝したのが彼岸の始まりです。
この期間中は仏壇を掃除し、朝と晩に灯明をともし線香をあげ、花やおはぎ、ぼたもちなどを供え、家族でお墓参りをして先祖の供養をします。「おはぎ」と「ぼたもち」は同じものですが、春の彼岸の時期に咲く牡丹、秋の彼岸の時期に咲く萩に由来しているとされています。



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