通夜・葬儀・告別式
■通夜
通夜は「夜伽よとぎ」「添い寝」などとも言われ、故人と親しい付き合いをしていた人が集まり、葬儀の前夜に夜通し邪霊などから遺体を守り、故人との別れを惜しむものでした。
現在では、午後6時頃から通夜がはじまり、午後10時頃までには通夜ぶるまいが終了する「半通夜」が一般的です。遺族はその後も灯明、線香の火を絶やさぬように遺体に付き添います。

■席次
通夜の席次は厳密には決まりがないのですが、故人との血縁の濃い順、関わり合いの深い順に座るのが一般的です。祭壇の正面には僧侶が座ります。祭壇に向かって右側には喪主、遺族、親族が座り、左側には世話役代表、知人、友人、会社関係者などが座ります。一般弔問客は到着順に座ります。

■通夜(仏式)の進行
僧侶が到着したら、世話役が控え室に案内し、喪主と世話役代表はあいさつに出向き、茶菓でもてなします。祭壇などを確認してもらい、通夜の打ち合わせをします。
喪主、遺族が着席し、参列者が着席します。僧侶が世話役の案内により入場し、祭壇の前に座ります。参列者は黙礼で迎えます。
僧侶の読経が始まります。弔問客が多い場合には、読経中に僧侶の指示により焼香が始まることもあります。喪主が最初に焼香し、遺族、親族が焼香します。祭壇前で僧侶に一礼し焼香台の前に進み合掌し、焼香します。もう一度合掌し、参列者に一礼して席に戻ります。次に参列者が順番に焼香していきます。喪主、遺族は参列者に対して黙礼します。
読経、焼香が終わると僧侶が退席します。「説教」「法話」をすることもあります。僧侶が退席した後、遺族を代表して喪主があいさつをします。通夜の後は、弔問客を通夜ぶるまいの席へ案内します。

■僧侶へのお礼
僧侶への読経のお礼や仏名代などを「御布施」と言います。一般的には、葬儀が終了した後に枕経、仏名代、読経料を一括で渡します。通夜のあとには僧侶を通夜ぶるまいの席へ案内します。もし、僧侶が通夜ぶるまいを辞退する場合には「御膳料」を「御車代」とともに渡します。御車代は、寺院以外の会場で通夜、葬儀を行う場合に渡します。渡し方は新札を用意し、白封筒に入れて渡します。

■僧侶へのお礼(御布施)
金額の目安寺院によって異なります
表書き御布施
水引なし、奉書紙か白い封筒に包む

■僧侶へのお礼(御車代など)
金額の目安3,000〜10,000円
表書き御車代、御膳料
水引なし、白い封筒に包む

■通夜ぶるまい
通夜のあとに、故人の供養、弔問へのお礼として設けます。通夜ぶるまいの料理には、以前は精進料理を用意していましたが、最近ではあまりこだわらずに寿司や刺し身なども出しています。日本酒などの酒類も「お清め」の意味で用意します。
通夜ぶるまいの席を設けない場合は、喪主のあいさつで事情を説明し、会葬礼状とともに「粗供養」として折詰めと日本酒1合びんか缶ビールなどを渡します。通夜ぶるまいの席ではお酒が入ることもあり時間が長くなることもあります。予定の時間が過ぎたら、喪主か世話役代表はお開きのあいさつをし、同時に葬儀、告別式の案内をします。

■通夜(神式)
神式の通夜は「通夜祭」といいます。通夜祭では、御霊移しと言われる「遷霊祭」も行われます。祭壇には、常饌(野菜、果物、魚など生の状態の食物)をお供えします。故人の好物などをお供えすることが多いようです。
一般的には、氏神である神社の神主が通夜、葬儀を司り「斎主」と呼ばれます。斎主による献饌、祭詞、誄詞の奏上のあと、遷霊祭に移り斎主、喪主から玉串を供え、遺族、一般参列者と続きます。
神式での通夜ぶるまいは「直会」と言われています。お清めの意味でもある酒類、寿司や仕出し料理などが用意されます。神式では、死とのかかわりを避けるため、喪家で火を使うことはタブーとされ、喪家で調理されたものは出しません。直会の席での時間は1時間程度で切り上げます。

■通夜(キリスト教式)
カトリックでの通夜にあたる儀式は「棺前祈祷式」「前夜式」と呼ばれています。自宅で神父とともに祈り、聖歌を歌います。その後、神父の説教を聞き、故人をしのんで思い出話などをします。プロテスタントの場合は「前夜祭」「前夜式」と呼ばれます。牧師による前夜式宣言で始まり、祈祷、賛美歌の合唱などが行われます。



■葬儀・告別式前の準備
葬儀、告別式の前には喪主は世話役代表、葬儀委員長、僧侶、葬儀社と打ち合わせを行います。式がスムーズに進むよう、弔問者に対して失礼のないように配慮します。打ち合わせでは、葬儀、告別式の席次、司会者、弔辞や弔電の順番、進行手順の確認、祭壇や供物、供花の配置などを確認します。司会者には名前の読み間違いがないように人物、会社などの読み方を伝えておきます。

■葬儀・告別式の手順(仏式)
喪主、遺族、親族、世話役、一般会葬者の順に席に着きはじめ、10分前には全員が着席します。世話役の案内により僧侶が入堂します。椅子席の場合は一同起立し、軽く頭を下げむかえます。司会者の葬儀開始のあいさつではじまります。
僧侶による読経、引導がはじまります。宗派、規模によって内容、時間は異なりますが、30分から40分程度です。
弔辞の拝受、弔電の紹介。弔辞は前もって依頼しておきます。司会者から弔辞を依頼した人の名前を故人との関わりとともに「○○様」と紹介されます。弔電は全文を2、3通読み上げ、残りは名前だけを読み上げていきます。
焼香がはじまります。まず僧侶がはじめに焼香し、僧侶または司会者の合図により、喪主、遺族、近親者の順で焼香します。
喪主、遺族は起立し、司会者のあいさつにより葬儀の終了、告別式に入ります。葬儀と告別式を別々に行う場合、僧侶はいったん退堂し、告別式であらためて入堂しますが、最近では葬儀、告別式を続けて行う場合が多いため、僧侶は退堂せずにそのまま行われます。
一般会葬者の焼香がはじまります。喪主、遺族は会葬者に黙礼します。焼香が終了すると僧侶は退堂します。入堂の時と同様に椅子席の場合は一同起立し、軽く頭を下げ見送ります。司会者のあいさつにより告別式が終了し、出棺準備に入ります。

■葬儀(神式)
神式では葬儀を「葬場祭」と呼びます。参列者は「手水の儀」を行ってから席に着きます。葬場祭は、斎主(神官)の入場、修祓(しゅうばつ)・拝礼、献饌(けんせん)、祭詞奏上(さいしそうじょう)、仏式の焼香にあたる玉串奉奠、撤饌(てっせん)・拝礼、の順で行われます。斎主にあわせて手をたたく際には「しのび手(音をたてない)」にします。棺が火葬場に向かう時には「出棺祭」が行われます。

■葬儀(キリスト教式)
キリスト教式の葬儀は一般的にはカトリックとプロテスタントでは内容が違ってきますが、教会の指示により進められます。
カトリックでは神父が入堂し開祭の言葉によりはじまります。ことばの典礼、感謝の典礼、赦祷式(しゃとうしき)の儀式を行い、聖歌の合唱、献花を行います。
プロテスタントではオルガン演奏からはじまります。牧師による招きの言葉、聖書の朗読、祈り、賛美歌の合唱、献花を行います。



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